あの「CUBE」の監督が撮った映画。
そして「CUBE」に出てた俳優さん二人が主役。
なので、ブラック・コメディと見せかけて実は陰惨な展開になっていくんじゃないかと思っていたんですけど、ラストは意外とアッケラカンとしたものでした。
特にスタッフロール後のオチ。
CUBEとは正反対で、なかなか希望に溢れてます。(多分)
周りとの歩調を合わせられずに常に除け者なデイブと、両親の虐待が原因でずっと引きこもっているアンドリュー。
そんな二人は幼馴染みで親友でルームメイトで、そして社会から利用される弱者の立場で、今まで辛酸を舐めていました。
それなのにある日、さらに度重なる不幸が一気に二人を襲い、追い詰められてしまった彼らは、「僕たちのことは放って置いてくれ!」と強く念じてしまいます。
すると次の瞬間、世界は彼らとペットの亀と家を残して、「nothing」の状態となってしまいました。
…というのが、序盤の展開。
デイブは社会からすれば弱者だけど、引きこもりのアンドリューからみれば「外に出て行ける」という点で強者なので、二人の力関係は常にデイブが上です。
だけどデイブは上昇志向だけはあるもんだから、チャンスがあればいつでもアンドリューを捨てて、一気に幸せを掴もうと考えています。
しかし世の中が無くなって、やがて自分達の嫌な記憶まで消してしまうと、幼少期のトラウマから開放されたアンドリューは、自信を持って行動するようになります。
なのにデイブの方は記憶を消し去っても大した変化は見られません。
更に音楽やゲームの才能まで開花させたアンドリューを見て、デイブは立場が逆転するんじゃないかと危機感を覚えてしまいます。
アンドリューはアンドリューで、自尊心を取り戻した分、かつて自分を都合よく利用したデイブの行動を許せなくなっていき、二人の関係が険悪なものになり始めるのです。
そんな彼らが仲違いに至る過程が細かく作られていて、「え?何でそうなるの?」という心情的なエアポケット部分が全く存在しません。
だから、極めて単純な世界観でも味わい深いものになってます。
さすがCUBEを撮った制作陣なだけあって、人をよく見てるな〜と窺わせるものでした。
でも、人にオススメできる映画ではないかも…。
映像はカラフルで綺麗だったんで、映像センスを中心に観ていけばいいのかも知れないけど。
面白いかどうかと言われれば、微妙なところを行き来してるような…。