一人暮らしの風変わりな老人バート・マンローは、若い頃からずっと抱いていた夢を実現させようとしていた。
それは、アメリカの塩平原で行われる大会で、愛機のインディアン号と極限のスピードに挑むこと。
年齢的にも経済的にも難しい夢ではあったものの、それでもバートは諦めず、町の人々の協力を経てとうとうアメリカへ行くことができたのだが…。
主人公のバートはポジティブ精神の持ち主で、見知らぬ人にも臆せずニコニコと話しかけていくタイプ。
彼の朗らかな性格に触れれば、どんなに非友好的な人でも自分から握手を求めに来るような感じです。
つまり、バートは桁外れの人徳を備えてる、ポカポカしたお日様みたいな人。
その魅力を武器に、行く先々の困難も易々と乗り切っていきます。
登場人物の誰もが、わずかな時間でバートに魅了され、彼の夢に力を貸してくれるのです。
でもこのストーリー、実はバートの人徳に説得力を持たせるエピソードがほとんど無いんです。
にも関わらず、バートのもてはやされ方が脚本のご都合主義だと感じなかったのは、やっぱりアンソニー・ホプキンスの演技と生身の存在感があったからだと思います。
たぶん、生半可な役者さんがバートを演じたら
「なんであの程度のコミュニケーションでバートの言いなりになるの?」
と釈然としない思いがずっと付きまとったと思う。
それを考えると、アンソニー・ホプキンスって本当に卓越した演技力を持つ俳優さんなんだと思います。
ちなみに、実在の人物の話とは知らなかったので、狭心症だの安全チェックで不合格だののキーワードにかなりハラハラさせられました。
良かった、最後まで無事で(笑)