こつぶがゴロゴロ。

主にネタばれ感想を呟いてます。

ロッキー

(過去サイトに載せたもの)


熱いスポ根映画と言われて真っ先に思い浮かべるのがコレ。

後に5(現在は6?)まで作られる人気シリーズとなる作品で、テーマソングは有名すぎるほどに有名です。


ボクシングに情熱を掛けた妻子持ちの男の話。


私の「ロッキー」の印象って、こんな感じでした。

実はコレを3辺りから観始めたので、世界の強者相手に次々に挑む典型的なスポ根映画だと思ってました。

1も幼い頃にちょこっと目にしたことはありましたが(テレビで)、その時のシーンがロッキーとエイドリアンのキスシーンだったんで、隣に親が居たこともあり、寝た振りをしてそのまま見続けることはなかったんです。

 だから1をまともに観たのはつい最近のこと、既に2~5を観た後だったんですね。

 

 で、観た感想はというと…。


 驚きました。

そこらのスポ根映画ではありませんでした。

スポ根映画ですらないような気がしました(オイ)

今までアカデミー受賞作品だと聞いてもピンとこなかったんですが、観たら「なるほど」と納得しました。

 なぜかって、登場人物の描写が繊細に描かれてたんですよ。

 ロッキーやエイドリアンといった登場人物一人一人の心情が、観る者にもちゃんと伝わって感情移入がしやすくて、ボクシングに興味がなくても充分楽しめたんです。

いや、楽しめたのはむしろボクシングを知らなかったからかも。

経験者が観ると、この映画のボクシングは噴飯物らしいし。

 でもなー。個人的にはコレ、ボクシングよりも人間関係を見て欲しいと思うなあ。

「ロッキー」ってボクシングを中心とした恋愛や友情を観察するんじゃなくて、恋愛や友情を中心とした

ボクシングを観察するってのが正しいかなーと思うし(意味不明)

ボクシングのシーンも、そんなに出てこなかったしね。


じゃあ具体的に恋愛面と友情面のどの部分に感動したかというとですね。


 恋愛はロッキーとエイドリアンの関係。

この二人の恋は、私的に映画の恋愛描写ベスト3に入ります。

 スケートリンク場で心を打ち解けあった後、ロッキーの家に招かれて戸惑いながらも少しずつ彼の元へ近づく場面は、観てるこっちまでヤキモキしたし、幼い頃ヤラシイな~と思った(笑)二人のキスシーンは、今まで映画を観てきて、初めて良かった良かったーと喜びました。(でも、今観ても結構官能的だと思います。あのキスシーン。)

 

 



友情はロッキーとミッキーの関係。

友情というより師弟の関係かもしれないけど、この二人の確執から和解するまでの描写も、上手い間の取り方をしてます。 

 素質はあるのにチンピラに成り下がってるロッキーに苛立ちを隠せず、彼に辛く当たるトレーナーのミッキーだけど、ロッキーが世界王者に挑むことになると途端に態度を変え、親しげに話しかけて彼に自分を売り込もうとします。

当然ロッキーは今更何言ってんだと激昂しますが、その後トボトボと寂しげに帰るミッキーの肩を、追いかけてきたロッキーが労るように叩くんです。

 今までミッキーにイライラしてても、ロッキーが思いっきり罵倒してくれたお陰で(笑)、スッキリどころか逆に可哀相になっちゃうんですけど、その後にちゃんとロッキーがミッキーを労るので、後味がとても良いんです。

そこら辺のバランスの取り方が上手いなーと思いました。

 


あとはロッキーとポーリー。


今まではロッキーもポーリーもくすぶった毎日を過ごしてたのに、感謝祭で妹のエイドリアンをゲットされ、その上世界王者に勝負を挑まれ、すっかり話題の人として世間の注目を浴びるロッキーに、ポーリーはヤキモチを焼いてしまいます。

で、プッツンと切れてロッキーとエイドリアンに当り散らす場面があるんですが、それでも情けない兄貴の哀愁が漂ってて、ちょっと切ないです。

でも数日たったらすっかりお調子者のポーリーに戻り、いつの間にかロッキーとも仲直りしてるので、ホッとするんですけど。



 

 

 今となっては(当時もか?)ありきたりの描写かも知れませんが、地に足が着いてるというか、

良い意味で定番通りの流れなので、安心して観れるようになってます。

 もし以前の私のように、「ロッキー」は2以降しか覚えてなくて、しかも「戦って戦って勝ちまくる」というイメージを持ってるなら、一度元祖である「ロッキー」1を観るのをオススメします。

 本当に変わりますよ、ロッキーシリーズの印象が。


 前にスタローンは自分でこの映画の脚本を書き上げ、低予算を条件に俳優生命を掛けて(?)主演をしたという有名なエピソードを聞いたけど、この話を踏まえて「ロッキー」を鑑賞すると、映画の中のロッキーがスタローンそのものに思えて、なんか妙にストーリーが現実味を帯びてきましたように見えました。