こつぶがゴロゴロ。

主にネタばれ感想を呟いてます。

スラムドッグ$ミリオネア

 

 

インドでも大人気の「クイズミリオネア」に、スラム出身の無学な青年ジャマールが参加した。

知識人でもてこずる難問を、次から次へ正解を導きだしていくジャマールに人々は驚嘆するが、全問正解まであと一歩というところで司会者から不正の疑惑をかけられ、警察に連行されてしまう。

警察の激しい拷問と尋問の中、ぽつりぽつりと真実を語るジャマール。

 彼がクイズの答えを知っていたのは何故か?そして、その目的は…。

 

 

 

 

面白かった~。

説明をはしょってて謎な部分もあったけど、素直に感動できる良い話でした。

ジャマールとヒロインのラティカが純粋で真っ直ぐで、お互いを想う心にフラフラしたところが無いのが好印象。

今時珍しいくらいの王道的な純愛に、久々に心が洗われるようでした。

 

この映画では、ジャマールとその兄サリーム、そしてラティカが、幼少・少年時代にどんな生き方をしていたのか詳細に語られるんですけど、平和にどっぷり浸かってぬくぬくと暮らしている私には、危険と汚物が隣り合わせの環境でたくましく生き抜く彼らが、凄く力強く感じ眩しかったです。

あんなに悲惨な状況に陥っても、彼らの大きな目の輝きは決して失われないんですね。

 小賢しい知恵を編み出し、大人から生活費を少しずつ拝借していく彼らは迷いもためらいもなく、ただ生きるために必死でした。

 でも、その上前をはねようとする悪い大人達もいるわけで。

 彼らはジャマール達や同じ境遇の子供たちを集めて、たくさんのお金を稼ぐ物乞いを作ろうとするのですが、その手段がとても残酷でえげつなくて、映画なのに直視できませんでした。

インドでは物乞いで大きな同情を誘いだすために、わざと子供の手足を切る親がいるという話を昔聞いたことがありましたが、その過程を見せつけらるのはショッキングでした。 

子供が気絶した状態で○○するからかろうじて見てられたけど…あれで泣き叫ばれてたら絶対にトラウマになってた。

 

 そんな悪い大人達も、話が進むと報いを受けることになるのですが、それがきっかけでサリームが悪の道へ突き進んでいくのには、皮肉な感じでした。

「処女は高く売れる」というママンの言葉通り、サリームはボスに無垢なラティカを献上することによって組織内での地位を手に入れたんだろうな。

  

そんなサリームと袂を分かち、一人ぼっちになったジャマールは、大人になってコールセンターでお茶汲みとして働くのだけど、その間の数年間どうやって生きてきたのかは描写されてません。

「門前の小僧習わぬ経を読む」を地で行くような器用さと頭の良さがあり、オペレーターの代役を完璧にこなした彼を見れば、どんな逆境にも機転を利かせて切り抜けたのだろうことは予想がつくけど、やっぱり物足りなさを感じます。

そこら辺、サリームやラティカと再会する場面でジャマールの口からチョロっと説明して欲しかったかも。

 

でも、ジャマール達を導く運命はとても悲しく過酷だけど、反面すごくドラマチックで奇跡的。 

だからこそ、ジャマールの成功に関わった人達(特に盲目のあの子)が報われる姿もみたかったなーと思いました。

ファンタジー的な作品だから、未公開シーンとかでそういうオマケが見れたら嬉しかったです。

 

ところで、この映画で一番印象的だったのは、ジャマール達の傍に居た「神」の存在。

もしかしてこの監督って「神の存在」を映画の中で表現するのが好きなのかな?

28日後の主人公が終盤で突然強くなるのも、サンシャイン2057の艦長の人外の強さとかも、もしかしたら未知の存在が彼らに影響を及ぼしているという設定でああなったんじゃないかと、ふと思ったんだけど。

まあそれでもやっぱり唐突感ありありかな(^_^;)

 

とまあ、ところどころ物足りなさはあったんですけど、インドの光と闇がつまったこの作品は間違いなく良作。

 社会派ドラマとしても恋愛ドラマとしてもおとぎ話としても楽しめました。

  

あっ。

 

もっと欲を言えば、スタッフロールのダンスはサリームやママン達も一緒に踊って欲しかったです、はい。