こつぶがゴロゴロ。

主にネタばれ感想を呟いてます。

ジェーン・ドゥの解剖

(以前Twitterで呟いたものに追加・修正したもの)

 スプラッターやゴアを連想させるタイトルですが、中身はしっかりオカルト映画でした。

一家皆殺し事件が起きた家を、警察による検分が行われている中、地下に埋められかけていた一糸纏わぬ美女の死体が発見されます。

とりあえずジェーン・ドゥ(業界用語で、身元不明の女性の遺体をそう呼ぶらしい)と名付けられた彼女は、検視官親子の死体安置所へと運ばれ、死因を調査されることになりました。

たった二人と一匹の猫だけの建物で行われる検死解剖は、親子にとっては日常茶飯事であり、特に息子のオースティンは、今回もチャチャっと終わらせてガールフレンドとレイトショーを観てイチャイチャする…

筈でした。

メスを入れてジェーン・ドゥの体の裏表を確認する内、彼女にまつわる恐ろしい事実があきらかとなるのですが、親子がその意味に戦慄した時にはすでに遅し。

彼らは不可解な現象に完全に囚われてしまうのです。

 この映画は扱ってる題材が題材の為、とにかく検死解剖の演出が凝ってて視覚的に生々しいというかグロいシーンが結構出てくるのですが、主人公親子がひとつひとつ検分していく毎に死体の謎が解き明かされていくので、最初はそのシーンに「うげげ」と思っていても、段々次の謎が知りたくなり、どんどん話に引き込まれていきます。

また、この映画にはレビ記20章27節、セイラム裁判、ヘブライ書4章といった聖書絡みのワードが出てくるのですが、その辺の知識があまり無い人(私もです)でもちゃんと話についていけるし、楽しめるようにできています。

やっぱり良い映画は何も考えずとも話が頭の中にスルッと入ってくるもんだなと思いました。

 ただ、猫だけはあんな目に遭わせて欲しくなかった…動物が不幸になるのを見たくない私は悲しくて涙が出てしまった。ホラー映画だってのに。

まあ、それ以外はテンポよく話が進んでいくし、刺激的なタイトルから予想されるようなスプラッターでもなく、オカルトで攻める正統ホラー映画なので、そういうのが好きな人にはオススメです。

ジェーン・ドゥ役の女優さんが、自分の体の上をメスが撫でていくのは怖かった、とういうことを言ったらしいけど、そりゃ怖いよなあ。

 ここからねたばれ感想。

外傷は無いのに、骨が折られてたり内臓が傷つけられた痕のあるジェーン・ドゥですが、元々彼女の体は表面も損壊の激しい状態だったんじゃないかと思います。

それを癒す為、被害者達に己の体に与えられた傷や苦痛を転移させて傷を修復していき、OPの一家の死でやっと体の表面が元の状態に戻ったのではないかと。

それでもまだ修復出来なかった肺と骨については、トミーの犠牲で回復することができたんじゃないかな。

ラストのヘブライ書4章の辺りから察するに、最終的に動けるようになり復活する目的がありそう。

「もう二度としない、約束する」と言った警察官の男性は、ジェーン・ドゥの正体も親子が死んだ理由も把握している可能性が高いですね。恐らく、検死解剖によって彼女に苦痛を与えてしまったことに対し「もう二度としない」と言ってるんだろうな。

でも次に運ばれるところは医学大学のようだし、また同じようなことになりそうなんだけど…。

じゃあ彼の正体は?というと、やっぱりセイラム魔女裁判で告発された誰かの関係者なのではないかと思うのですが。

非常に乏しい私の知識ではこれ以上の考察は難しいです…。

もしかしたらこの映画のコメンタリーなんかでその辺りの回答があるのかもしれないですね。