この映画を観たのは10年以上前。
確か話題にはなっていなかった映画ですが、世間に騒がれなくとも良作・名作はあるものだと改めて認識させてくれたホラーでした。
後味の悪いホラー映画というのはある意味セオリーですが、いくら話が秀逸と言われてる作品であっても、バッドエンドのラストは観賞後に気持ちがどよ~んとするものです。
「スケルトン・キー」も後味の悪い映画の一つではあるんですが、後味の悪さより「凄い!」という気持ちが勝って興奮するという、珍しい気分を味わいました。
何が凄いのかというと、この映画は伏線の張り巡らし方がとても上手いのです。
主人公のキャロラインは、寝たきりの老人男性の介護をする為に雇われるのですが、その老人が住む館には鏡が無い等の奇妙な特徴があり、また老人の妻であるヴァイオレットもとっつきにくい感じです。
違和感を覚えながらも彼女は働き出すのですが、ある日老人をお風呂に入れた時、彼はキャロラインの体を強くつかみ、助けて欲しいと訴えます。
ほどなくして彼女は、館の奇妙な特徴がブードゥーに関わりがあることと、老人が誰に怯えているのかをつきとめるのですが…。
この映画には「ブードゥーの呪術」、「屋敷に住む老夫妻と、屋敷の顧問の弁護士」、「屋敷にかつて起きた惨劇」という、ストーリーを構成する柱が3つあるのですが、それらに対し一貫したキーワードが、「信じないほうがいい」です。
これは主人公の友人の女性が言う台詞なのですが、主人公のキャロラインは、最後までそれに徹することができなかった為、悲惨なことになってしまいます。
呪術はかけられる相手が信じるから叶う術。だから、信じないほうがいい。
その理屈を基盤に作ったストーリーは、とても説得力がありました。
そして、ラストのオチを見た時に、それまでの伏線が全て頭の中に鮮やかに蘇るという経験は中々できるものではありませんでした。
かつて使用人夫婦が屋敷の子供達にブードゥーを教えたのも、その使用人夫婦を処刑したことがどんな意味になるのかも、ラストで理解することになります。
だから、「後味悪い~」と思いながらも、観た後はスッキリするのです。
普通の作品なら、2回目を見てやっと分かる、もしくは思い出す程度の印象の薄い伏線が一つ二つあるものですが、「スケルトン・キー」にはそれが一切ない。
一回目のラストで全ての伏線を思い出し、かつ合点がいくようにできているのは、とてもすごいことだと思います。
衝撃度でいったら「ユージュアル・サスぺクツ」ぐらい(え、分かりにくい?)
なので、私的にこの映画はオススメ。
「バッドエンドは好きじゃないんだよな~」という人も、一度はこの映画を観てみたらいいんじゃないかと思います。