こつぶがゴロゴロ。

主にネタばれ感想を呟いてます。

クリスマス・クロニクルの感想

twitterで呟いたものをブログ用に書き直した物)

 

 

 父親を亡くしてから初めてのクリスマスを迎える予定の兄のテディと妹のケイト。
間の悪いことに母親は職場からの要請で急遽出勤となり、兄妹2人だけでクリスマスイブを過ごすことに。
ここのところ兄と不仲のケイトは、リビングで一人クッキーを齧りながら生前の父親が映っている過去のクリスマス映像を眺めていたのですが、そこに一瞬プレゼントを置く謎の手が写っていることに気付きます。
その人物がサンタクロースであると確信したケイトは、テディを巻き込んで今夜もやってくるだろう彼をカメラで録画する作戦を開始。
そしてイブの夜中、とうとう目的の人物が現れ興奮した兄妹は、すぐにその姿を追いかけてトナカイのソリに潜り込むことに成功するのですが、兄妹に驚いたサンタクロースはソリの操縦を誤ってしまい…。

 


 去年のクリスマスシーズンに観ました。
感想としては、仕事やら何やらで色々疲れた大人が街中で流れるクリスマスソングを聞きながら「こんな感じでサンタクローズが実在してたらいいなあ…」と、あれこれこじつけて作った映画って感じ。


サンタクロースは何故誰にも目撃されないのか?何故子供達の欲しいおもちゃをプレゼントできるのか?一晩の間にどうやって世界中の子供にプレゼントを配るのか?

 

というような、サンタクロースを信じてる子供達が最初に抱く疑問を、大人の視点で理屈を生み出し肯定していくスタイルなので、割と地に足のついた現代ファンタジーに仕上がっています。
軽いタッチで小気味よいテンポの話なので、子供が観て楽しめるのは勿論、大人でも一緒になってワクワクできる映画だと思います。

 

 この話の根幹には、サンタクロースがクリスマスの朝までに全ての子供達へプレゼントを配り終えないと、世界の暗黒時代がやってくるという謎設定があります。
兄妹に驚いたサンタクロースがソリを落下させた時にプレゼント袋を落としてしまい、更にはトナカイ達とも離れ離れになってプレゼントを配ることもできず、そのせいでクリスマスの街中は犯罪を起こす人達が増えていくのです。
限られた時間でトナカイ達とプレゼント袋を探し出し、世界中の子供達にプレゼントを配り終えるというミッションの為、サンタクロースと兄妹は力を合わせて奮闘するのですが、常識で塗り固められた街の大人達には彼らの行動が理解できず、挙句の果てに警察まで呼ばれ、とうとうサンタクロースが逮捕されてしまうという前代未聞の展開となります。


 そんな設定の為か、主人公のテディが父親を亡くした影響で悪友達とつるんで悪さをしてる設定だったり、出てくる大人の半分以上は悪者や犯罪者であったりと、ファミリー向けの映画にしては割と珍しい内容になっています。
カート・ラッセル演じるサンタクロースも、従来の好々爺然としたイメージとは違うファンキーな設定で、彼のちょいワル親父的な雰囲気が遺憾なく発揮されています。

 

 でも、だからといってテディや犯罪者達の悪行を肯定するものでもなく、彼らにも残っていた良心や真心、童心を表現して観る者への感情移入を誘います。

例えば、サンタクロースをいまだに信じてるケイトに対しその存在を否定することは言えなかったテディだとか。

それを描写した上で「今からでも改心しよう」とやんわり諭す感じです。

 

そして改心するための原動力となるのは、やっぱり健全な愛(この映画の場合は主にサンタクロースからの)で満たされる幸せな気持ち。楽しい気持ち。嬉しい気持ち。

 

愛を思い出せば…思い出が無くても今から愛を味わっていけば、人は改心できるのだと、この映画は言いたかったのではないかと思いました。

 

 たぶん今の子供達がこの映画を観ても、注目するのは主人公兄妹とサンタクロースぐらいだと思われますが、彼らが大人になって世間に揉まれていけば、きっとエキストラである大人達にもよく目が行くようになる。
10年後20年後にはそういう楽しみ方のできるポテンシャルを秘めた作品だなと思いました。

 

でもこの映画で一番衝撃を受けたのは、カート・ラッセルがおじいさん役をやったことでした。

もうそんな役をこなす御年になったのか…。

デス・プルーフの時はまだまだ壮年だったのに…ちょっとショック。