ある老姉妹の静かな一日を描いています。
老いた人達の話だからなのか、物語に大した起伏がなく平坦な印象を受け、はっきり言って面白いと感じるものではありませんでした。
でもね、ちょっと不思議な映画なんです。
確かに面白いとは思わないしストーリーは単調なものなんだけど、観ていて飽きることはなかったんです。
あのゆったりゆったりとした雰囲気が、とても心地良くて。
多分あのゆったり感は、大勢の人が思い描いている理想の老後のイメージをそのまま表現しているのだと思う。
自分が年老いたらこれくらいの時間の流れで過ごしたいという願望を、映画で形にしている感じ。
自分が思い描く理想の時間の概念だから、退屈しないのかも。
映像の方は少し落ち着いた感じの色調で、でも鮮やかな色は強く目を惹いて、海の色やブルーのドレスが本当に綺麗でした。
それに姉妹が住む家が、とても魅力的に映っているんですよね。ああいうところ、住みたい。
年老いた人たちもとても美しく撮っていて、サラのつぶらな瞳やリビーの見事な白銀の髪がすごく印象的。
特にリビー役のベティ・デイビスは、「ジェーンに何が起こったか?」から醸し出しされていた脂ぎった荒々しさがこの映画からは感じられず、白髪のせいなのかとても透き通った印象を受けました。
とにかく、いろんな面で「よぼよぼのお年寄りになるのも悪くないな〜」と夢見させる(オイ)力がある映画です。
少し疲れ気味の時に見れば、きっと癒しになるはずです。