地味なんだけど、良い話。
今まで自分本位に生きてきた為に家族を失ったお天気キャスターのデイヴが、再び家族とやり直すために、妻と子供達の絆を復活させようと努力していくんですが、欲張って複数の願望を
同時に実現させようとするもんだから、度々空回りになってしま います。
そこが少しリアルだと思いました。
私もそうなんだけど、デイヴのように自分の世界を作ってる人って、ワンマンになりやすいんですよね。
人の為にやっていた事の筈なのに、いつの間にか自分の為にその人を動かそうとしてしまったりとか。
または、何かを頼まれて行動しても、途中で物思いに耽ってしまうと、思いついたことを実行し始め、最初の目的をすっかり忘れてしまってたり。
そんな自己中なところが、子供との交流やタルタルソースのおつかいエピソードに上手く表現されていて、ちょっと自分を見てるようでこ恥ずかしい気持ちになりました。(笑)
デイヴは自分の嫌なところを自覚はしているんです。
ただ、そんな欠点を直そうとしても、次から次へと降ってくる予想外の出来事に思考停止しちゃって、結局あと一歩というところで元に戻ってしまう。
もう一度やり直そうとまた一歩進みますが、またまた後退。
そんな進退を繰り返してるうちにも時間は過ぎていき、結局は手遅れになってしまうのです。
そういうところが、「人生はラクじゃない」んですよね。
ラクじゃないから「人生はクソ」。
18歳の頃に夢をたくさん持ち続けていたのは、クソをたくさん所有していたのと同じこと。
長い人生を進むには、そんなクソを少しずつ捨ててしまわなければならない。
大きな夢を実現させるために。
…少し間違った解釈かも知れないですが。
この映画は人生を「素晴らしいもの」「厳しいもの」というような巷に溢れている表現ではなく、「クソだ」とあっさり言ってます。
確かに現代の世の中は理不尽なことだらけで、「厳しい」というよりは「クソ」の方がしっくりくるかもしれない。
そんな世の中を、最後は矢を背負い弓を担いで泳ぐデイヴが洒落てました。
ところでデイヴ役のニコラス・ケイジ、かなりリアルなヘタレ男っぷりだったな〜。
こういうダメ男を他の役者さんが演じると、どこか雰囲気に愛嬌があったりコミカルさがあったりするものなのに。
この物語のデイヴにはそういうのがほとんどなくて、コンプレックス丸出しな感じがよく出てました。