こつぶがゴロゴロ。

主にネタばれ感想を呟いてます。

バイバイ、ママ

少女時代に両親から充分な愛を得られなかったエミリーは、自分だけを見つめてくれる存在の「子供」が欲しいと考えるようになり、あらゆる手を使ってシング ルマザーとなるんですが、息子のポールへの愛情はどの母親よりも深く、「あー泣き声がうるさくて眠れねー」だの「たまには子育てから開放されたいよー!」 だの、そういった不満は一切持たないだろうと思わせるほど、彼女は喜んで自分の全てをポールに捧げます。

そんなエミリーは全世界の子供達にとって、まさに理想の母親でしょう。

しかし、彼女に対してそう思えるのも、よちよち歩きの幼児期まで。

すくすくと育って6歳となったポールは、やがて母親以外の世界に目を向けようとするんですが、エミリーは、息子が自分以外の者と関わるのを異常に嫌がって、挙句の果てには学校に入学させることさえ拒否します。

外に触れれば、もうポールが自分だけを見つめてくれなくなることを知っているからです。

 ポールはそんな母に段々不信感を抱き始めていき、このままではいけないと母から自立しようと必死になります。

そんな息子を見て、エミリーがとった驚くべき行動は…。

実は、映画全体の大きな伏線となっているのです。

 彼女の驚くべき行動は、はっきり言ってしまえばオープニングで容易に解ってしまいます。

しかし、「何故彼女がその行動に至ったのか」という理由は、ラストを見るまでピンとこないのです。

物語は現代とエミリーの少女時代を交互にして展開していくのですが、彼女の少女時代を見ても、両親の仲が良過ぎて子供が間に入っていくのが憚れるものではあるものの、決してエミリーに愛情を注いでなかったというわけではないんですね。

例えるなら、「ミート・ザ・ペアレンツ2」のグレッグの両親みたいな感じ。

両親の「男と女」を見せ付けられて自分が誰の「一番」にもなり得なかったことに、嫌な気持ちになるのも心の傷になるのも分かるんだけど、でもポールに対する執着心の理由としては、少し弱いなと思ったんですよ。(実際のケースではどうだかわかんないんですけど)

でも話が進むにつれて、過去と現在のエピソードが徐々に収束していき、そしてラストで重なり合ったとき、初めて彼女の行き過ぎた愛情と行動に納得できたのです。

子育て方法は父親を真似て、愛する手段は母親を真似てしまったエミリー。

ここら辺の物語の構成は本当に、お見事。

ちょっとだけ、ぎこちなさと物足りなさは感じたけれど、なかなかの佳作映画だと思いました。(何様)

ケビン・ベーコン、第2のイーストウッド監督になれるといいな。

ただ、これは個人的な感じ方かもしれないけど…。

マット・ディロンみたいな知名度の高い俳優をマーク役に持ってきたのは、ちょっと不味かったんじゃないのかなあ。

物語り全体で見れば、マークはあくまでエピソードのひとつの人物に過ぎないのに、彼が演じたお陰で妙に印象に残っちゃって、そのあと彼が全く出てこなくなったことに違和感を感じてしまった。

サンドラ・ブロックは、今回はとてもミステリアスな雰囲気で良かったです。