う〜〜〜〜ん。
中盤までの、大恐慌という不幸からもがきながら這い上がる描写はとても良かったのに…。
ブラドックが家族を養うために、プライドを捨てて物乞いするのを見て、心を痛めながらも「なんて強い人なんだ」と感動してたのに。
マックス・ベアのエピソードから、一気に熱が冷めてしまった。
だってマックス・ベアの描かれ方が極端なんだもの。
彼のことは全く知らなかったんだけど、それでも「ちょっと悪く描きすぎじゃないの?」と思っちゃって。
それにいくら悪役でも、最初から客席ほぼ全部がプラドック派という状況で戦わされるなんてねえ…浦沢直樹の「HAPPY!」を思い出しちゃったよ。
だから、DVD特典映像の実際のブラドックVSマックス・ベア戦を観て、「やっぱりマックス・ベアはそこまで悪い奴じゃなかったんだ」と思いました。
この物語が完全なフィクションだったらあの悪役ぶりもまだ納得できるけどさー、実在の人物をあそこまで悪い方向に脚色するってどうなの。
ブラドックの話を描くのに、マックス・ベアを最低な人間に仕立て上る必要なんてあるの?
この一点がどうしても釈然としなくて、私はこの映画を素直に「素晴らしい」とは思えなかった。
勧善懲悪ものは嫌いじゃないけど、この映画は酷過ぎだよ。
…と、ここまで言いましたけど。
でも物語の運び方はやっぱり良いと思いますよ。
なんだかんだ言っても、最後まで飽きずに観れましたから。
大恐慌の恐ろしさも、ヒシヒシと伝わってきましたし。
あの時代に比べたら、今の日本は不況といえど、まだマシだよねえ…。