以前、会社の人と北野映画の話でそこそこ(?)盛り上がった時、その人はこう言いました。
「北野映画って、話が深いよね」
私はそれを聞いて、首を傾げてこう答えてしまいました。
「北野映画は薄っぺらだと思います」
誤解の無いように言うと、私は北野映画が大好きです。
日本人監督の中で一番かも(しかしアウトレイジは観る勇気無い…)
でも内容に関して言えば、深みを全く感じないんです。
もちろん物語の中には監督なりの人生観が組み込まれてるのは分かるんだけど、でも演じる俳優さん達には登場人物に成りきらせるための演技指導は放棄してるんじゃないかと思います。
だから、この人の映画はカラッポに見えます。
じゃあ、北野映画のどういうところが良いと思ってるかというと。
この人の映画は、絵画的なんです。
ひとつひとつのシーンが、斬新なアングルと絶妙な味を持ったキャラが配置された、ひとつの魅力的な絵に見えます。
よく言われる「キタノブルー」も、その絵の魅力のひとつです。
多分俳優さん達も、絵の素材のひとつとして扱われてるんじゃないのかな。
だからこの人の映画には、例え退屈な内容であっても見入ってしまう。
そういう芸術的な描写が顕著に出てたのがソナチネとHANA-BIで、だからこそこの2つは映画祭で評価を得たんじゃないのかなと思います。
この辺、私の好きな監督の一人である、クリント・イーストウッド監督とは正反対。
イーストウッドの映画は登場人物のバックボーンがビシビシ伝わってくるんだけど、でも絵作りに関しては特に目を引くものがないって感じ(うわー、偉そうでごめんなさい。)
だから、話が深そうに見えて実はカラッポな映画だと思いますが、逆にそのせいで絵が美しく見えちゃいます。
白痴美みたいなもん。
勿論、これは私の考えなので、絶対コレだと言い張るつもりはありません。
上記の会社の人も、私が見つけられなかった部分を発見したから、そう言ったのかもしれないので。
ちなみに、私が好きな北野映画は「菊次郎の夏」「あの夏、一番静かな海」「Dolls」そして…
「みんな~やってるか!」です、ハイ…モゴモゴ。
これ言ったら会社の人に微妙に引かれちゃった(;一_一)