思いっきりネタバレですのでご注意。
「うわ〜、愛に溢れた映画だなあ〜」てのが、この映画の感想。
もう観てるだけで監督の原作ゲームに対する想いが伝わってくるんですよ。
そう感じるのは、元々私がこのゲームシリーズ(特に1の)ファンだからなんだけど、
多分このゲームを知らなかったとしても、そういうのは伝わったと思う。
だって映像が生理的嫌悪を抱かせるモノなのにも関わらず、情調溢れてて美しいんだもの。
あの白っぽい幻想的な街並み、携帯やカーラジオのノイズ音、血と錆と金網の路地裏と学校、シビルのカッコよくてセクシーな婦警姿…。
まあそんな感じで、ファンが思い描いている(望んでる)サイレントヒルのイメージを、美しい映像で見事に形にしてくれてます。
特に学校の裏世界でコリーンが動き出すシーンの演出や映像なんて、
「原作を越えてる!」と思ったほど。
表世界ではただの死体なのに、裏世界になるとクリーチャーとして蠢くっていうのが、いかにもサイレントヒルらしくていいです。
この映画の制作陣、原作ゲームの魅力的な部分を、大きいものから小さいものまで、ちゃーんと解ってて撮ってたんでしょうね〜。
ここまでゲームとファンを尊重してくれた制作陣に拍手!って感じです。
でも…、前半の展開は思いっきりサイレントヒルだったのに、
後半になるとソフトで薄口なヘルレイザー仕立てになるのはどうしてでしょーね。
アンナの●●シーンまでは良かったんだけどなあ。
原作では1,2を争うほどの不気味体験ができた病院のはずだったのに、映画では一番怖くないシーンに成り下がったのが、ちょっと。
せめて看護婦の動きはもうちょっとなんとかならなかったのかしら。
クライマックスも、有刺鉄線やクリーチャーを総動員して、信者達を地下の地獄?に引き込むような演出にして欲しかったよ。
それと、前半のサイレントヒルに行くまでの過程は、もうちょっと詳しく描いた方が良かったんじゃないかな。
あれだけだとローズが車でゲートを無理やり突破する等の強引な行動の動機が、ゲーム経験者ならともかく映画で初めて観る人には、イマイチ伝わらない気がするんだよね。
ゲーム的なストーリー展開は悪くないんだけど、これだけはね…。
…と不満を言っちゃったけど。
それ以外に関しては、ただただ「ここまでオリジナルなサイレントヒルを構築できたのが凄い!」と感動するばかりです。
表世界で降っているのが灰になってたり、サイレンが教会からの警報になってたり、教団の信者達がワラワラ出てきたりするのも、
死神の存在という映画オリジナルな登場人物がいるからなんですね。
そんな映画独自の設定なのに、原作のイメージを壊さずに魅せることができたのは、原作を愛し知り尽くしてるからこそできることなんだろうな。
ところでシャロン・アレッサ・死神の三役をこなしていたジョデル・フェルランドちゃん、メチャメチャカワええ!
今まで天才子役と呼ばれる子達の様々な演技を見ても、どこか子供らしからぬ知性が見え隠れして、可愛いなあとも思わなければ感動したこともなかったんだけど、彼女だけは別。
彼女の演じるシャロンの表情と仕草はいかにも子供っぽくて可愛らしく、でも死神モードではゾッとするような凄惨な笑みを浮かべられたりする。
いや〜、「天才子役」という言葉を初めて意識したよ。
そんな彼女の他の主演映画、「ローズ・イン・タイドランド」も観てみたいな!
それとダリア役のデボラ・カーラ・アンガー。
すっごい綺麗〜。
あの汚い髪から覗く透きとおった感じの美貌は、強烈に印象に残りました。
でも作中のダリアは、本当に可哀想だったな…。
アレッサなのか死神なのかはよく分かりませんが、結局彼女らに母として見限られてしまったんですよね。
今まで背負っていたアレッサへの罪まで無くしてしまったダリアは、失意のまま永遠にあの悪夢の街を彷徨うのでしょうか…やるせない。
他の俳優陣も負けず劣らず魅力的な人達で、彼らのプロフィールを調べてみるのが楽しいです。
そのお陰で、気になる映画を発見。
その事についてのお話は、また今度に。