「クラッシュ」とアカデミー賞争いをした作品。
選ばれたのは「クラッシュ」の方でしたが、それでも傑作と名高い映画。
男同士の愛の歴史を綴るこの物語は、観た人に様々な感想を抱かせると思います。
で、私の感想はというと。
阿呆か、こいつら。あああ石投げないでっ
壁に耳あり障子に目ありだぞ!
あんなところで熱いキスをかませば、仮に奥さんが目撃しなくても誰かの目に触れる確立が高いに決まってるじゃない。
いくら久々の再会で我を忘れたとはいえ、なんでそこまで無防備になれるのよあんた達。
その後の行動に関しても、自分達でわざわざ揉め事を作ってるようにしか思えなくて、ラストを迎えても「身勝手な奴らだな〜」という感想しか抱けませんでした。
でも救いだったのは、イニスもジャックも子供達にはちゃんと父親の役割を果たそうと努めてたところかな。
それと「つまらない男でごめん」とあやまったイニスに、付き合っていた女性が「女は男を面白いから好きになるわけじゃないのよ」と返すのも印象的だった。
しかし、それ以外は………うーーーーーーん。
私、この手の作品は好きではないものの、嫌悪感を抱くタイプではないんですよ。
実際、ブロークバック・マウンテンを下りて二人がそれぞれの生活に戻るところまでは、「切ない愛だね」と思っていたし。
でもあの白昼堂々のキスシーンから、主役二人の身勝手さがやたら目立つようになり、どんどんしらけてしまって。
ゲイの人達にとっては片身の狭い時代だったとしても。イニスが幼少時の出来事を引きずる不器用な男だとしても。
子供もいるんだからもうちょっと落ち着いて行動して欲しいな。
保守的だのリベラルだの以前の問題だと思う、あれは。
大自然の美しさには驚嘆させられたし、奥さんなどの周りの人達の描写も丁寧にされているとは思うんだけど、どうも物語にのめり込めない。
イニスとジャックの物語が美化され過ぎな気がする。
…ここら辺は好き嫌いの問題なのかもしれませんね。
ちなみに。
これを観るまで「クラッシュ」がアカデミー賞を獲った理由がイマイチ分からなかったんだけど(良い作品とは思うけどアカデミー賞を獲る程だとは思えなかった)、観たら何となく納得できたかも。