こつぶがゴロゴロ。

主にネタばれ感想を呟いてます。

羅生門

黒澤明の名前が初めて世界に轟いたと言われる作品。

芥川龍之介の作品を元にしていて、舞台設定は「羅生門」を、登場人物とエピソードは「藪の中」を使っています。

四人の男と一人の女の証言を基にして紡がれるエピソードは、主観と嘘の交錯を分かり易く描いてました。

「人間なんて結局は自分の有利になる話しかしない」ということがよく分かります。


印象に残ったのは、多襄丸と金沢武弘の証言の場合、自分を美化するという負い目のせいか、それとも強い自分を演出するため相応の強敵を作る必要があったせいなのか、相手の男にも華を持たせてやっている印象があるのですが(その代わり真砂を悪く言うけど)

真砂の場合、自分を美化することに躊躇せず、完全なる被害者として語り

二人の男を徹底的に悪者に仕立て上げます。

そういう男女の特徴が、リアルだな~と感じてしまいました。


厭世感に囚われそうなお話だけど、でも一度は絶対に観ないといけない映画だと思います。